2026年4月15日

ー火傷(熱傷)とはー

火傷(やけど、熱傷)は、熱や火、熱湯、蒸気、薬品、電気などによって皮膚やその下の組織がダメージを受ける状態を指します。日常生活でも頻繁に起こりやすく、軽い日焼けのようなものから、深い組織にまで損傷が及ぶ重度のものまで、症状の幅は非常に広いのが特徴です。
皮膚は外部から体を守るバリアとして重要な役割を持っていますが、火傷によってその働きが損なわれると、炎症・痛みはもちろん、細菌感染や傷跡が残るリスクも高くなります。特に適切な初期対応と治療が重要で、早めに対処することで後の経過が大きく変わることがあります。
損傷の深さによって重症度が異なり、軽いものから皮膚の深部まで達する重篤なものまであります。表面が赤くなる程度の軽いやけどであれば自然に治ることもありますが、水ぶくれができたり、皮膚が白くなったりするやけどは、適切な医療処置が必要です。
ーこんな症状・状況はありませんか?ー
「熱い飲み物や料理をこぼしてしまった」
「フライパンやアイロンに触れてしまった」
「肌が赤くヒリヒリしている」
「水ぶくれができている」
「火傷の跡が残らないか心配」
こんな症状・状況はありませんか?
やけどは日常生活の中で突然起こるケガのひとつです。「たいしたことないと思っていたら、思ったより深かった」というケースも少なくありません。特にお子さんのやけどは皮膚が薄く、大人と同じやけどでも重症化しやすいため、早めの受診が大切です。
ー原因は?ー




火傷の原因は1つではなく、日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。
主なものとして以下が挙げられます。
・熱傷(熱湯・蒸気・炎・熱した油・調理器具・アイロンなど)
・低温やけど(カイロ・電気毛布・湯たんぽなど、低温のものに長時間触れることで生じる)
・化学熱傷(強酸・強アルカリなどの化学物質による損傷)
・電撃傷(電気による損傷)
・日焼け(紫外線熱傷)(強い紫外線による皮膚のダメージ)
もっとも多いのは、熱湯や飲み物、汁物による「熱湯熱傷」です。特に高温の油や汁は皮膚へのダメージが強いため、短時間の接触でも深いやけどを起こすことがあります。また、フライパンや鍋などの調理器具、ストーブ・アイロンなどの高温の物体に触れることによる「接触性の熱傷」も非常に多く、金属類は熱を保ちやすいため重症化しやすい傾向があります。
特に注意が必要なのが低温やけどです。カイロや電気毛布など、「熱くない」と感じる温度でも、長時間皮膚に接触し続けることで深刻なやけどになることがあります。気づきにくく、発見が遅れると深部まで達していることがあります。
さらに、見た目にわかりにくいにも関わらずリスクが高いのが「蒸気」です。炊飯器や電気ケトルなどから出る蒸気は100℃以上の高温になることもあり、皮膚の深い層までダメージが及ぶ危険があります。
ー主な症状ー

やけどは損傷の深さによって、以下の3段階に分類されます。
Ⅰ度(軽度)
皮膚表面のみのダメージ。
・赤み
・ヒリヒリする痛み
・軽い腫れ
水ぶくれはできません。日焼けのような状態で、しばらく色味は残りますが傷跡にならずに治ることが多いです。
Ⅱ度(中等度)
皮膚の深い部分まで炎症が及ぶ状態。
・赤み
・強い痛み
・水ぶくれ(水疱)
表皮の下にある真皮まで損傷が達した状態です。赤みと強い痛みに加え、水ぶくれ(水疱)ができます。浅いⅡ度(浅達性)は1〜2週間で治ることが多いですが、深いⅡ度(深達性)は治るまでに時間がかかり、跡が残ることがあります。
Ⅲ度(重度)
皮膚の奥深くまで損傷が及ぶ状態。
・白っぽい
・黒く焦げたように見える
・痛みが少ない(神経が損傷しているため)
重度の場合は専門的治療が必須です。
皮膚の全層が壊死した状態で、皮膚が白や黒に変色し、神経も損傷されるため痛みを感じないことがあります。治療に時間がかかり、部位や大きさによっては植皮手術等が必要になる場合があります。
ー応急処置ー

火傷をした直後は、早急に冷やすことが重要です。
・流水で15~30分しっかり冷やす
・衣類の上からでもすぐ冷やす
・氷を直接つけない(凍傷のリスク)
・水ぶくれを自分では潰さない
・軟膏や油を自己判断で塗らない
初期対応を適切に行うことで、症状の悪化や傷跡のリスクを抑えることができます。
ー検査・診断ー
やけどの診断は、主に視診によって行います。
やけどの原因・受傷した時間・範囲・深さ・応急処置の内容などを確認します。
・視診による深度評価
・感染の有無の確認
・範囲が広い場合は全身状態の確認
火傷は見た目以上に深いことがあり、正しく診断することが治療の第一歩になります。
化学熱傷や電撃傷の場合は、皮膚だけでなく内部の組織にも影響が及ぶことがあるため、全身状態の確認も行います。
ー治療についてー

⊡外用薬(塗り薬)による保存的治療
Ⅰ度〜浅いⅡ度のやけどは、抗菌作用のある軟膏や創傷被覆材を使用しながら治療します。傷を乾燥させずに湿潤環境を保つ「湿潤療法」が現在の標準的な治療法です。
⊡深いやけどの治療
深いⅡ度以上のやけどや、広範囲のやけどは、専門的な治療が必要です。壊死した組織の除去や、皮膚移植(植皮術)が必要になる場合があります。
⊡やけど跡(瘢痕)のケア
やけどが治った後も、赤みや硬さが残ることがあります。保湿・圧迫療法・紫外線対策などを続けることで、瘢痕をできるだけ目立たなくすることができます。気になる場合はご相談ください。
ー受診の目安ー

「これくらいなら様子を見ても大丈夫かな?」と迷うことはありませんか?以下のようなサインがみられる場合は、早めに皮膚科へご相談ください。
✓水ぶくれができている
✓顔、手、陰部などの重要な部位の火傷
✓痛みが強い、広範囲
✓皮膚が白く、黒く、または硬くなっている、痛みがない
✓市販薬を使っても悪化する
✓感染が疑われる(赤み拡大、膿、熱感など)
✓範囲が広い(手のひら以上の大きさ)
✓お子さんや高齢者のやけど
✓低温やけどの疑いがある(カイロ・湯たんぽなどの長時間接触)
✓応急処置をしたが、痛みや赤みが続いている
火傷は初期対応と治療で経過が大きく変わるため、早い段階で診察を受けることが大切です。「たいしたことない」と思っても、水ぶくれがある場合や範囲が広い場合は、必ず皮膚科を受診してください。
