2026年3月23日

ー粉瘤とはー

粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、医学的には 表皮嚢腫 と呼ばれます。皮膚の一部が袋のような構造になり、その中に角質や皮脂などの老廃物がたまることでできるものです。真ん中に黒い点があることもあり、これは「開口部」と呼ばれ、袋の内部と皮膚表面がつながっている部分です。この部分から、押したときに白っぽくて独特の臭いがある内容物が出てくることがあります。粉瘤は触ると境界がくっきりした丸っこいしこりとして感じられます。
粉瘤は顔、首、背中、耳の後ろなどにできやすいと言われていますが実際は体中のどの部位にもできる可能性があり、大きさは数ミリ程度の小さなものから数センチ~10センチ以上にまで大きくなるものまでさまざまです。通常は痛みはありませんが、炎症を起こすと赤く腫れたり、痛みが出たり、膿がたまったりすることがあります。この状態は 炎症性粉瘤 と呼ばれます。
粉瘤は自然に消失することはなく、少しずつ大きくなったり、たまに炎症を起こしたりする可能性があります。治療には手術が必要で、注射の麻酔(虫歯の治療などでも用いられるものです)をした上で皮膚に小さい穴を開けて本体を袋を摘出します。内容物だけを押し出しても袋が残っている限り再び中身がたまり、再発する可能性があります。そのため、自分でつぶしたり、針などで無理に中身を出したりすることは感染や炎症を引き起こす原因になるため避けるべきです。粉瘤があることに気づいたときや、もともとある粉瘤が大きくなったり、痛みや赤みが出てきたりした場合には、皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。
ーこんな悩みありませんか?ー

「皮膚の下にコリコリしたしこりがある」
「いつの間にか皮膚にふくらみができていた」
「押すと白っぽいものが出てきて、においが気になる」
「背中や首にできものがあり、なかなか治らない」
「しこりが徐々に大きくなってきている」
「赤く腫れて痛みが出てきた」
そんなお悩みはありませんか?
皮膚にできたしこりやできものについて、「痛みはないけれど気になる」「そのままにしておいて大丈夫なのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
また、背中や首、耳の後ろなどにできものがあり、「ニキビだと思っていたがなかなか治らない」「同じ場所に繰り返しできる」といったお悩みを抱えている方もいらっしゃいます。さらに、ある日突然しこりが赤く腫れて痛みが出てきたり、触れると熱をもっているように感じたりすることもあります。
このような症状がある場合、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質や皮脂がたまることで起こる 粉瘤 の可能性があります。気になるしこりや症状がある場合は、自己判断でつぶしたりせず、早めに皮膚科で相談することが大切です。
ー原因は?ー

粉瘤は、皮膚の表面にある表皮の一部が何らかのきっかけで皮膚の内部に入り込み、袋状の構造を形成することで起こります。
粉瘤ができるはっきりとした原因は分からないことも多いですが、次のような要因が関係していると考えられています。
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毛穴の詰まり
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ニキビなどの皮膚トラブル
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皮膚の小さな傷や外傷(ピアス穴などがきっかけで皮膚の一部が内側に入り込む)
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衣類や皮膚同士の摩擦などの刺激
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体質や皮脂の分泌量
- ウイルス感染(特に手足にできる粉瘤は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与する場合がある)
これらの影響によって皮膚の一部が内部に入り込み、袋状の構造が形成されることで粉瘤ができると考えられています。
日常的な刺激や摩擦が加わりやすい部位にできやすい傾向がありますが、特に思い当たる原因がなく発生することも多いです。
ー主な症状ー
粉瘤は初期はあまり目立たないことも多いですが、徐々に特徴的な症状が現れてきます。
皮膚の下にできるしこり
最も一般的な症状は、皮膚の下に触れるしこりです。
・大きさは数mm程度の小さいものから、数cm以上になるものまでさまざま
・丸く、境界がはっきりしていることが多い
・たまに臭い内容物が出てくることもある
中央に見える黒い点(開口部)
粉瘤の特徴として、しこりの中央に黒い点のようなものが見えることがあります。
これは皮膚表面と袋がつながっている部分で、「開口部」と呼ばれます。
この開口部があることで、粉瘤と他のしこり(脂肪腫など)を見分けるヒントになります。
においのある分泌物
しこりを押すと、白〜黄色っぽいペースト状のものが出てくることがあります。独特の不快なにおいがあるのが特徴です。ただし、無理に押し出すと炎症の原因になるため、自分でつぶすことは避けましょう。
炎症を起こしたときの症状(炎症性粉瘤)
細菌が袋の中に入り込むと、急に赤く腫れて強い痛みが生じます(炎症性粉瘤)。発熱を伴うこともあります。この状態になると袋ごと摘出することが難しくなるため、早めの受診が必要です。
・赤く腫れて痛みを伴う
・破裂して内容物が出てきた
・触ると熱を持っている(熱感)
・急に大きくなっ
ー粉瘤の検査・診断ー

粉瘤の診断は、主に視診と触診によって行います。見た目や触れた感じ、中心部の黒い点の有無などを確認します。
・しこりの大きさや位置
・皮膚とのくっつき具合
・触ったときの硬さや動き
・中央に黒い点(開口部)があるかどうか
・赤みや腫れ、痛みの有無
これらを総合的に判断することで、多くの場合は粉瘤と診断できます。
ー治療についてー
粉瘤の根本的な治療は、手術による摘出です。袋(嚢腫)ごと取り除かないと再発するため、薬だけで治すことはできません。粉瘤の中には、角質や皮脂などの老廃物がたまっていますが、内容物だけを取り除いても袋が残っている限り再発します。そのため、治療の基本は「袋ごと完全に摘出すること」が重要になります。
炎症がない場合(通常時の治療)
痛みや赤みがない状態であれば、根治的な手術(摘出術)を行います。
⊡特徴
・当院でも日帰りでの手術が可能です。
・くり抜き方、通常の摘出術など複数の術式から最適な方法を提案します。
しこりが小さいうちに治療することで、傷跡も小さく抑えやすいというメリットがあります。
炎症がある場合(炎症性粉瘤)
赤く腫れて痛みがある場合は、いきなり摘出手術を行うのではなく、まず炎症を落ち着かせる治療を優先します。
⊡主な治療
・抗生物質の内服
・切開排膿(膿を出す処置)
膿がたまっている場合は、皮膚を切開して内部の膿を外に出すことで、痛みや腫れを改善させます。
その後、炎症が落ち着いたタイミングで、改めて袋を摘出する手術を行います。
日常ケア
粉瘤を自分でつぶしたり、無理に押し出したりすることは、炎症や感染のリスクを高めるため避けてください。気になる場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
ー受診の目安ー

「これくらいなら様子を見ても大丈夫かな?」と迷うことはありませんか?
以下のようなサインがみられる場合は、早めに皮膚科へご相談ください。
✓皮膚の下にコリコリしたしこりがある
✓しこりが大きくなってきている
✓赤み・痛み・腫れがある
✓膿や内容物が出ている
✓繰り返し腫れている
✓押すと白っぽいものが出てきて、においが気になる
✓自分でつぶしたら悪化してしまった
✓しこりが気になって、生活や気持ちに影響している
粉瘤(ふんりゅう)はほとんどの場合は良性の腫瘍であり、緊急性が高いケースは多くありません。しかし、放置することで大きくなったり、炎症を繰り返したりすることがあるため、適切なタイミングでの受診が重要です。また非常に稀ですが粉瘤から悪性腫瘍(皮膚癌)に発展するケースもあります。
粉瘤は早めに対応することで、負担を最小限に抑えることができます。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
