2026年5月31日

ー掌蹠膿疱症とはー

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手のひらや足の裏に、小さな膿をもった発疹が繰り返しできる慢性の皮膚疾患です。膿疱といっても細菌感染によって膿んでいるわけではなく、無菌性の炎症によって生じるのが特徴です。はじめは小さな水ぶくれのように見えることもありますが、次第に膿疱へ変化し、赤みや皮むけ、ひび割れを伴うようになります。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、長期間続くことも少なくありません。特に足の裏に症状が強く出ると、歩行時の痛みで日常生活に支障をきたすことがあります。また、手のひらに症状がある場合は、家事や仕事などで刺激を受けやすく、治りにくくなることもあります。
掌蹠膿疱症は皮膚だけの病気ではなく、喫煙習慣や扁桃炎、歯周病など、体の中の慢性的な炎症との関連が指摘されています。そのため、皮膚症状だけでなく、全身状態を含めて治療を考えていくことが大切です。さらに、一部の方では関節や骨に炎症を起こす「掌蹠膿疱症性骨関節炎」を合併することがあり、胸の中央や鎖骨周辺、肩、腰などに痛みが現れることもあります。
ーこんな悩みありませんか?-

「手のひらや足の裏に膿をもったブツブツが繰り返しできる」
「かゆくてつらいのに、なかなか治らない」
「骨や関節が痛くなることがある」
「皮がむけてガサガサしている・ひび割れて痛みがある」
「歩くと足裏が痛い」
「市販薬では改善しない」
「爪が変形してきた」
こんなお悩みありませんか?
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に症状が出るため、日常生活の中で刺激を受けやすく、慢性的に悪化と改善を繰り返しやすい疾患です。特に足裏の症状は歩行時の痛みにつながり、仕事や家事などに支障を感じる方も少なくありません。また、「普通の肌荒れ」「湿疹」「水虫かな?」と思って市販薬で様子を見ていたものの、なかなか改善せず、長期間悩まれているケースも多くみられます。
ー原因はー

掌蹠膿疱症の原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常や慢性的な炎症反応が関係していると考えられています。さまざまな要因が複雑に関わり合いながら発症・悪化するとされており、単純な手荒れとは異なる疾患です。特に関連が深いとされているのが喫煙です。掌蹠膿疱症の患者さまには喫煙者が多く、たばこによって症状が悪化しやすいことが知られています。禁煙によって症状が改善するケースもあり、治療の中でも重要なポイントになります。また、扁桃炎や歯周病、副鼻腔炎など、体の中に慢性的な炎症があると、免疫が刺激され皮膚症状につながることがあります。さらに、金属アレルギーやストレス、疲労、睡眠不足などが悪化要因になることもあります。
⊡関連すると考えられている要因
✓喫煙(喫煙者に圧倒的に多く、禁煙で改善するケースがある)
✓扁桃炎・虫歯、歯周病などの慢性炎症
✓金属アレルギー
✓ストレスや疲労
✓生活習慣の乱れ
このように掌蹠膿疱症は、皮膚だけでなく体全体の状態が関係する疾患と考えられています。
ー主な症状ー

掌蹠膿疱症では、手のひらや足の裏に小さな膿疱が繰り返し現れるのが特徴です。初期には小さな水ぶくれのように見えることもありますが、次第に黄色っぽい膿疱へ変化し、乾燥しながら皮むけやかさぶたを伴うようになります。症状は左右対称に出ることが多く、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に続きます。また、皮膚が厚く硬くなったり、ひび割れを起こすことで強い痛みが出ることがあります。特に足の裏では、歩行時の刺激によって悪化しやすく、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。そして、掌蹠膿疱症の方の一部に、胸の中央部・鎖骨・肋骨などの関節に痛みや腫れが現れる合併症が起こることがあります。
⊡主な症状
✓手のひら・足の裏に小さな膿疱ができる
✓赤みや皮むけが繰り返される
✓皮膚が厚く硬くなる
✓ひび割れによる痛み
✓強いかゆみ・ヒリヒリ感
✓爪の変形や変色
さらに、一部の方では関節や骨に炎症を伴い、胸や鎖骨周辺、肩、腰などに痛みが現れることもあります。
ー検査・診断ー
掌蹠膿疱症の診断は、主に問診と視診によって行います。症状の部位・膿疱の状態・喫煙歴・歯科治療歴・扁桃炎の既往などを確認します。
必要に応じて当院では以下の検査を行うこともあります。
・顕微鏡検査(足白癬、いわゆる水虫と見た目が酷似するので区別のため)
・皮膚生検(皮膚を3ミリ程度くり抜いて診断のための病理検査を行う)
・血液検査(炎症反応・感染巣の確認)
見た目が似ている疾患として、
・手湿疹(汗疱)
・水虫(足白癬)
・乾癬
などがあります。正確な診断のうえで適切な治療を受けることが大切です。
ー治療についてー
掌蹠膿疱症の治療では、皮膚症状を抑えるだけでなく、悪化要因を見つけて改善していくことも重要になります。症状の程度や生活への影響に応じて、複数の治療を組み合わせながら行います。
外用療法
ステロイド外用薬を中心に使用し、赤みや炎症を抑え、膿疱の出現を抑制する効果があります。皮膚が厚くなっている部分には、角質をやわらかくする薬を併用することもあります。症状が落ち着いてからも継続して使用することが再発予防に重要です。
内服療法
症状が広範囲・重症の場合や、外用薬・光線療法で効果が不十分な場合に、炎症を抑える薬やビタミン剤などを使用することがあります。症状が強い場合には免疫に作用する内服薬を使用することもあります。
光線療法
ナローバンドUVBやエキシマライトなどの紫外線を照射することで、皮膚の炎症を抑える治療です。慢性的な症状に対して有効な場合があります。手のひら・足の裏に特化した局所照射が行えます。外用薬との併用でより高い効果が期待できます。
原因への対応
禁煙や歯周病・扁桃炎の治療を行うことで、症状の改善につながることがあります。生活習慣の見直しも大切です。
生物学的製剤
重症例や難治例では、免疫の働きを調整する注射治療が検討されることがあります。
ー受診の目安ー

以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科への受診をおすすめします。
✓手足の皮むけや膿疱が繰り返しできる
✓痛みやかゆみ、ひび割れで日常生活に支障がある
✓市販薬を使っても改善しない
✓症状が徐々に広がっている
✓胸の骨・鎖骨・肋骨の周辺に痛みや腫れがある
✓喫煙していて、なかなか皮膚症状が改善しない
掌蹠膿疱症は慢性的に経過する疾患ですが、適切な治療を継続することで症状をコントロールできる場合が多くあります。
「なかなか治らない手荒れかな」と自己判断せず、気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。早めに適切な治療を始めることで、症状の改善や悪化予防につながります。
