2026年5月18日

ー尋常性乾癬とはー

尋常性乾癬とは、皮膚に赤み(紅斑)と白いフケのような鱗屑(りんせつ)が現れる慢性の皮膚疾患です。良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患であることが特徴で、長く付き合っていく必要がある病気のひとつです。原因ははっきり一つに特定されているわけではありませんが、免疫の異常や炎症によって皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)が過剰に早くなることが関係していると考えられています。頭皮、肘、膝、腰回りなど、刺激を受けやすい部位にできやすく、見た目の変化から日常生活に影響を感じる方も少なくありません。痒みが強いこともあれば、痒みが全くない方もいらっしゃいます。
ーこんな悩みありませんか?-
「皮膚に赤い発疹ができている」
「白いフケのようなものがポロポロ落ちる」
「頭皮のフケがなかなか改善しない」
「同じ場所に繰り返し症状が出る」
「肘や膝、腰などに厚みのある皮疹がある」
「かゆみがある、または違和感がある」
「見た目が気になって服装や生活に影響がある」
「皮膚の赤みとフケのようなものが繰り返し出てくる」
「かゆくて夜も眠れない」
「見た目が気になって、半袖を着られない」
こんなお悩みありませんか?
このような症状が続いている場合、尋常性乾癬の可能性があります。
乾癬は皮膚の見た目への影響が大きく、「感染するのでは?」と周囲に誤解されることもあり、精神的なつらさを感じる方も少なくありません。しかし、乾癬は人にうつる病気ではありません。近年は生物学的製剤など新しい治療法の登場により、症状をほぼ消失させることも期待できるようになっています。
ー原因はー

尋常性乾癬は、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
⊡主な原因・悪化因子
✓免疫の異常
✓遺伝的な体質(家族に乾癬の方がいると発症リスクが高まる)
✓ストレスや疲労
✓感染症(風邪・扁桃炎などが引き金になることがある)
✓外的刺激(こすれ・傷など)
✓喫煙・飲酒
✓肥満や生活習慣の乱れ
✓薬剤による副作用
これらの要因によって皮膚の炎症が引き起こされ、ターンオーバーが異常に早くなることで症状が現れます。
通常、皮膚細胞は約28日かけてターンオーバー(新陳代謝)しますが、乾癬では免疫の異常反応によってこのサイクルが約4〜7日に短縮され、未熟な皮膚細胞が次々と表面に押し出されます。その結果、赤みと厚いかさぶたが生じます。
また、皮膚への刺激(掻く・こする・圧迫など)によって新たに皮疹ができる「ケブネル現象」がみられることもあります。
ー主な症状ー
尋常性乾癬は、見た目に特徴のある皮膚症状が現れる慢性疾患で、部位や程度によってさまざまな形で現れます。初期は小さな発疹から始まることが多いですが、徐々に広がったり、同じ場所に繰り返し出現するのが特徴です。
⊡代表的な症状
✓赤く盛り上がった発疹(紅斑)
✓白いフケのようにポロポロとはがれ落ちる鱗屑
✓皮膚が厚くなる(肥厚)
✓境界がはっきりした皮疹
✓軽度〜中等度のかゆみ(かゆみの程度は個人差がありますが、強いかゆみで睡眠が妨げられる方もいます。)
✓同じ部位に繰り返し現れる
これらの皮疹は、頭皮・肘・膝・腰回り・お尻など、摩擦や刺激を受けやすい部位にできやすい傾向があります。また、左右対称に現れることも多く、慢性的に経過するのが特徴です。皮膚の表面には銀白色の鱗屑が厚く付着し、こするとポロポロと落ちるのも特徴的です。見た目の変化がはっきりしているため、フケや湿疹と間違われることもありますが、なかなか改善しない場合は乾癬の可能性も考えられます。さらに、症状が進行すると皮疹の範囲が広がったり、複数の皮疹がつながって大きくなることもあります。
また、皮膚以外にも以下のような症状を伴うことがあります。
✓爪の変形(爪がでこぼこになる・厚くなる)
✓関節の痛みや腫れ(乾癬性関節炎)
こうした症状がみられる場合は、より専門的な治療が必要になることもあります。
⊡乾癬性関節炎
乾癬患者さんの約10〜30%に関節の炎症(関節炎)が合併します。指・足・脊椎などの関節に痛みや腫れが生じます。関節の変形が進むと日常生活に支障をきたすこともあるため、関節症状がある場合は早めにご相談ください。
ー検査・診断ー
乾癬の診断は、主に問診と視診によって行います。発疹の形・広さ・鱗屑の状態などを確認します。必要に応じて皮膚生検(診断を付けるために皮膚の一部を採取する検査)を行うこともあります。典型的な尋常性乾癬の場合は皮膚生検は不要ですが、少し変わった出方をする場合は他の似た疾患との区別が必要になります。
見た目が似ている疾患として、
・脂漏性皮膚炎
・アトピー性皮膚炎
・掌蹠膿疱症
・梅毒
などがあります。他の皮膚疾患との見分けが重要になるため、正確な診断のうえで適切な治療を受けることが大切です。
ー治療についてー


外用薬
乾癬治療の基本となるのが外用薬です。皮膚に直接塗布することで、炎症を抑えたり、異常に早くなっている皮膚のターンオーバーを整える働きがあります。主にステロイド外用薬やビタミンD3外用薬が使用され、症状の強さや部位に応じて使い分けます。近年ではこれらを組み合わせた配合薬も多く使用されており、効果と使いやすさの両面で優れています。症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために継続的に使用することが大切です。
内服薬
症状が広い範囲に及んでいる場合や、外用薬・光線療法でコントロールが難しい場合には、内服薬による治療が行われます。体の内側から免疫のバランスや皮膚の増殖を調整することで、症状の改善を目指します。全身に作用する治療となるため、効果が期待できる一方で、定期的な血液検査などによる安全管理が必要になります。医師の指示に従いながら、慎重に使用していきます。
光線療法
医療用の紫外線を一定の条件で皮膚に照射する治療です。過剰に活性化している免疫の働きを抑え、皮膚の炎症や細胞の増殖をコントロールする効果が期待できます。外用療法だけでは十分な改善が得られない場合や、症状が広範囲に及ぶ場合に検討されます。定期的な通院が必要にはなりますが、比較的安全性が高く、継続することで安定した効果が期待できる治療法です。(当院では全身の光線療法、部分的な光線療法いずれも行っています。)
注射治療
免疫の異常に直接働きかける注射による治療で、中等症〜重症の乾癬に対して行われます。炎症の原因となる特定の物質をピンポイントで抑えることで、高い改善効果が期待でき、これまでの治療で十分な効果が得られなかった方にも有効な選択肢となります。定期的な投与と経過観察が必要ですが、症状の大きな改善や生活の質の向上につながることが期待されます。
日常でのケア
乾癬は日常生活の影響を受けやすい疾患のため、治療とあわせて生活習慣を整えることも重要です。皮膚をこすったり刺激を与えたりしないよう注意し、保湿をしっかり行うことで皮膚の状態を安定させます。また、ストレスや疲労、生活リズムの乱れは悪化の要因となるため、規則正しい生活を心がけることが大切です。喫煙や過度な飲酒も症状に影響することがあるため、見直しを検討することもおすすめします。
ー受診の目安ー

「フケや湿疹かな」と思って様子を見ているうちに、症状が長引いてしまうこともあります。下記のようなことがある場合受診をおすすめします。
✓皮膚に赤い発疹と大量の白いフケが続いている
✓同じ場所に繰り返し出る
✓範囲が広がってきている
✓見た目やかゆみが気になる
✓皮膚に赤い盛り上がりと白いかさぶたが繰り返しできる
✓肘・膝・腰まわりに発疹が出やすい
✓市販薬やセルフケアを続けても改善しない
✓関節に痛みや腫れがある
✓見た目が気になって、日常生活や気持ちに影響している
尋常性乾癬は、適切な治療によって症状をコントロールできる疾患です。早めに診断・治療を行うことで、悪化を防ぎ、日常生活への影響を軽減することができます。
気になる症状がある場合は、「ただのフケや湿疹」と思わず、お気軽に皮膚科へご相談ください。
