赤ら顔・酒さ
赤ら顔・酒さ

赤ら顔とは、顔の皮膚が慢性的に赤く見える状態を指します。その原因はさまざまで、一時的な血流増加による生理的な赤みから、慢性的に続く皮膚疾患まで多岐にわたります。その中でも代表的な疾患の一つが「酒さ(しゅさ)」です。酒さは顔の赤みを伴う慢性炎症性皮膚疾患で、顔の中央部(鼻・頬・額・あご)に赤み、毛細血管の拡張が出現します。
様々なタイプがある疾患ですが、赤や黄色のポツポツが多発して一見にきびに見える場合や、鼻の皮膚が厚く隆起して「鼻瘤(びりゅう)」に至る場合もあります。また赤い部分の皮脂分泌や毛穴の開大が目立ちやすいことも特徴として挙げられます。
酒さの原因は明らかになっていませんが、日々研究が進み、関与している要因やメカニズム、治療方法が判明してきています。
血管の異常
血管の量や太さ、拡張機能の異常により慢性的に顔が赤く見えるようになります。Vビームという血管を壊すレーザーにより赤みの治療を行うこともあります。
にきびダニや細菌の活性化
毛包虫(にきびダニ)の増殖や皮膚常在菌の関与が報告されています。にきびダニを殺す作用のあるイベルメクチンという外用剤や、一部の抗生剤が非常によく効くことがあり、これらの生き物が関連していることが推測されます。
皮脂による炎症
イソトレチノインやマイクロボトックス、アゼライン酸など皮脂を抑える治療が酒さの治療にも用いられます。皮脂の過剰やそれによる慢性的な炎症が赤みに関与していると考えられます。
生活習慣や環境要因
紫外線、飲酒、香辛料、熱い飲み物、ストレスなどが悪化因子になると考えられています。
「赤ら顔の原因はストレス?」「お酒を飲むと悪化するの?」といった疑問を持つ方も多いですが、酒さは多因子性の疾患で、特定の一つの原因だけでは説明できません。体質的素因に加え、生活習慣や環境因子が重なって症状を引き起こすと考えられています。
酒さは症状のタイプや進行度によって以下のように分類されます。
紅斑毛細血管拡張型
顔の中央部に持続的な赤みが現れ、毛細血管が目立つようになります。
丘疹膿疱型
赤いポツポツや黄色い膿がたまったポツポツが多発します。にきびと誤診されたまま何年も治療を受けているケースを多々目にします。にきびと酒さは似たようで異なる疾患で治療方法もやや異なるため、正しい診断が治療に結び付きやすいです。
鼻瘤(びりゅう)型
鼻の皮膚が厚くなりゴツゴツと盛り上がります。
赤ら顔は酒さ以外にも、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきび後の赤み、ステロイド外用薬の長期使用による副作用などでも起こるため、自己判断は避けて皮膚科での診断が重要です。
これらの症状が当てはまる場合は、酒さや他の皮膚疾患の可能性があります。
診断は主に医師の視診と問診で行われます。症状の出る部位、経過、生活習慣との関連を確認し、にきびや脂漏性皮膚炎などとの鑑別を行います。必要に応じて、真菌検査を行うこともあります。
酒さは慢性の経過をとるため、完治というよりは症状をコントロールして再発を防ぐことを目的に治療が行われます。
外用薬
抗炎症作用をもつメトロニダゾール外用薬、アゼライン酸外用薬が用いられます。アゼライン酸誘導体を含有したドクターズコスメであるベーシックケアAZシリーズもおすすめです。
内服薬
抗菌薬(テトラサイクリン系)やイソトレチノインなどを必要に応じて内服することがあります。
レーザー治療
Vビームを用いたレーザー治療により赤みの治療を行うことができます。浅草駅前まつだ皮膚科で行っている治療です。
スキンケア・生活習慣の見直し
低刺激性の洗顔料・保湿剤を使用し、紫外線対策を徹底することが大切です。アルコール、香辛料、熱い飲み物は症状悪化のきっかけになるため注意が必要です。
赤ら顔は症状の総称で、酒さはその原因のひとつです。脂漏性皮膚炎やにきび後の赤みも赤ら顔の一因になります。
慢性疾患なので残念ながら完治は難しいですが、適切な治療と生活管理で症状を大きく抑えることができます。最終的に、スキンケアや外用薬だけで症状を抑えることが目標になります。全員ではありませんが病状が落ち着き無治療でも症状なく過ごせるようになることもあります。
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