2026年3月03日

ーアトピー性皮膚炎とはー
いわゆるアトピーとは「アトピー性皮膚炎」のことで、かゆみを伴う湿疹を慢性的に繰り返す皮膚の病気です。アレルギーも症状に関与していることが多く、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息など他のアレルギー性疾患の合併が多いことも特徴です。良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、乳幼児期に発症するのが一般的ですが、小児期や成人になってから発症することもあります。年齢によって症状の出やすい部位や皮膚の状態が異なります。
発症には、体質的な要因に加えて、皮膚のバリア機能の低下が大きく関係しています。皮膚のうるおいを保つ力が弱まることで、外部からの刺激を受けやすくなり、炎症やかゆみが起こりやすくなります。さらに、かゆみによって掻いてしまうことで皮膚が傷つき、症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります。
ーこんな悩みありませんか?ー
「かゆくてつい掻いてしまう」
「保湿をしているのに、なかなか良くならない」
「夜間のかゆみで眠れない」
「顔や首にかゆみと赤みを繰り返す湿疹がある」
「季節の変わり目やストレスで悪化しやすい」
「肘や膝の内側に乾燥した赤み、かさかさ、痒みがある」
そんなお悩みはありませんか?
症状が続くと、不安になったり、つらい気持ちになってしまうこともあると思います。これらの症状が長引いたり繰り返したりする場合には、アトピー性皮膚炎が疑われます。受診の際には、家族のアレルギー歴も伝えると、より正確な診断につながります。かゆみが強いこともこの病気の大きな問題です。かゆみによって皮膚をかくと、さらに皮膚が傷つき、炎症が悪化します。この「かゆい→かく→悪化する」という悪循環が症状を長引かせる原因になります。慢性化すると皮膚が厚く硬くなり、色素沈着を起こすこともあります。ですが、適切な治療と毎日のスキンケアを続けることで、症状はコントロールすることができます。
ー原因は?ー

体質として、アレルギー体質を持っている人は、免疫が過敏に反応しやすく、家族にアトピーや喘息、花粉症などのアレルギー疾患がある場合、発症リスクが高まります。また、皮膚のバリア機能が弱い体質の人は、皮膚の水分が逃げやすく乾燥しやすいため、外からの刺激やアレルゲンが入りやすくなり、かゆみや炎症が起こりやすくなります。
悪化のきっかけとしては、
・ダニ
・ハウスダスト
・花粉
・汗
・乾燥
・ストレス
・睡眠不足
などが挙げられます。乳児では食物が関係することもありますが、自己判断で食事制限をすることは推奨されません。
アトピー性皮膚炎は「皮膚の弱さ」と「免疫の過敏さ」を基盤に、さまざまな要因が重なって起こる病気です。そのため、原因を一つだけ取り除けば治るというものではなく、保湿ケア、刺激の回避、適切な治療などを組み合わせて管理していくことが大切になります。
ー主な症状ー
最も大きな特徴は「かゆみ」です。皮膚に赤みやブツブツができ、強いかゆみを感じます。特に夜間にかゆみが強くなることが多く、睡眠に影響することもあります。
次に「湿疹」です。赤く腫れたり、小さな水ぶくれができたり、じゅくじゅくした状態になることがあります。慢性化すると皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、ごわごわした状態になります。また、乾燥が強くなり、粉をふいたようにカサカサすることもあります。
アトピー性皮膚炎は年齢によって湿疹の出やすい部位が異なります。
⊡乳児期
頬や口の周り、首にじゅくじゅくとした湿疹ができやすく、顔や頭に出やすい赤みや湿疹とかゆみが、繰り返し続きます。
⊡幼児期
ひじやひざの内側など関節部分に、かゆみの強い湿疹が繰り返し現れます。乾燥によるかゆみが目立ち、掻き壊しによる二次感染のリスクが考えられます。
⊡思春期~成人期
首や顔、上半身を中心に、乾燥とかゆみの強い湿疹が慢性的に続きます。全身に症状が広がる場合や、慢性的な乾燥と苔癬化が目立ちます。手の症状を繰り返すこともあります。
ーアトピーの検査・診断ー
重症度の評価には、「皮疹の面積」や「湿潤・滲出の有無」、「掻破痕」などが用いられます。
また、血液検査により、「IgE値」「好酸球数」「TARC値」を測定することで、病勢の把握や治療方針の決定に役立ちます。症状に関わっているアレルゲンを特定するためにアレルギー検査も実施することがあります。
ー治療についてー
⊡保湿ケアが基本
皮膚の乾燥を防ぐため、クリームや軟膏で毎日しっかり保湿し、皮膚のバリア機能を回復させ、かゆみや炎症の悪化を防ぎます。日常的に保湿を行うことで炎症の再発予防にもなり、結果的にステロイドなどの外用薬の使用量を減らせる場合もあります。アトピーにおいてスキンケアは単なる補助ではなく、治療の土台となる重要なケアといえます。

⊡薬物療法
アトピー性皮膚炎の薬物治療では、炎症を鎮め、かゆみを抑え、皮膚のバリア機能を回復させることを目的とします。
・薬の種類と主な目的・作用
| ステロイド外用薬 | 炎症を強力に抑えます。最も基本的な治療薬です。長期的に使用することで皮膚が薄くなったり赤くなったりといった副作用が出ることもあり、できる限り短期間での集中的な使用が基本です。 |
|
タクロリムス、コレクチム、 モイゼルト、ブイタマー (外用免疫抑制薬) |
ステロイドではない外用剤もいくつかあります。ステロイド外用剤のような即効性や力強さはありませんが、副作用が少なく長期的な使用に向いています。 調子がいいときは非ステロイドの外用剤、調子が悪いときや悪い部位だけステロイド外用を使用、といった治療方法も一般的です。 |
| 保湿剤(スキンケア) | 皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を回復させ炎症の再発を抑えます。 |
|
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬(内服) |
かゆみを軽減し、掻くことでの悪化を防ぎます。 |
| 光線療法(紫外線療法) | 皮膚の免疫に関与する細胞の働きを抑えることで湿疹やかゆみの改善・予防効果があります。安全性が高く、長期的に継続することで皮膚の調子を維持していけることが期待できます。 |
| ステロイドやシクロスポリン等の内服(重症例) |
急激な悪化時に一時的に炎症を強く抑えます。 長期使用は避ける必要があります。 |
| 生物学的製剤(デュピルマブなど) | 重症例に使用します。アトピーの免疫反応を分子レベルで抑制します。近年はお子様でも使用できる薬剤もあります。 |
ー受診の目安ー

「これくらいなら様子を見ても大丈夫かな?」と迷うことはありませんか?アトピーは症状の波があるため、受診のタイミングに悩む方も少なくありません。
以下のようなサインがみられる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
✓かゆみが強くて眠れない(睡眠や生活に支障が出る)
✓じゅくじゅくして黄色いかさぶたがある(感染の可能性)
✓どんどん範囲が広がっている
✓市販薬を1週間ほど使っても改善しない
✓顔・まぶた・首など目立つ場所が悪化している
✓乳幼児で強い湿疹が続く
✓掻き壊しで出血や膿が出る
特に発熱や急に悪化した場合は早めに受診をしてください。
アトピーは子どもにも大人にも起こる慢性的な皮膚疾患です。
年齢によって症状の現れ方や生活への影響は異なりますが、基本となるのは正しいスキンケアと継続的な治療です。症状が落ち着いているときも「治った」と油断せず、スキンケアや環境管理を継続することが、再発予防と長期安定につながります。患者さん一人ひとりのライフスタイルに合った方法を見つけ、無理なく続けることが症状の安定に繋がります。焦らず、長い目で向き合っていきましょう。
アトピーでお困りの方は当院で気軽にご相談ください。

