2026年9月09日

ー基底細胞癌とはー

基底細胞癌(きていさいぼうがん)は、表皮の基底層などにある細胞から発生する皮膚がんの一種です。皮膚がんの中でも頻度が高く、特に高齢の方に多くみられます。
顔や首など、長年にわたって紫外線を浴びやすい部位に発生することが多く、特に鼻やまぶた、頬、額などによくみられます。初期には黒色や褐色、あるいは皮膚色の小さなしこりとして現れ、ゆっくりと時間をかけて大きくなることが特徴です。表面に光沢がみられたり、毛細血管が目立ったりすることもあり、進行すると出血や潰瘍を生じ、「なかなか治らない傷やかさぶた」のように見えることもあります。
基底細胞癌がほかの臓器へ転移することは非常にまれで、早期に適切な治療を行えば良好な経過が期待できます。一方で、治療せずに放置すると周囲へ徐々に広がり、皮膚だけでなく軟骨や骨などの深い組織まで浸潤し、組織を破壊することがあります。
痛みなどの自覚症状がほとんどない場合もあるため、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、気になる変化があれば早めに診断を受けることが大切です。
「ほくろのようなものが少しずつ大きくなっている」「傷やかさぶたがなかなか治らない」「同じ場所から繰り返し出血する」といった症状がある場合は、一度皮膚科を受診しましょう。
ーこんな悩みありませんか?ー

「顔にできたものが治らない」
「黒いホクロだとおもってたら少しずつ大きくなってきた」
こんなお悩みありませんか?
基底細胞癌は、初期にはほくろ等の良性腫瘍やニキビ、傷あとなどと見分けがつきにくいことがあります。しかし、徐々に大きくなったり、基底細胞癌特有の拡大鏡所見が出てきたり、場合によっては出血・かさぶたを伴ったりすることが特徴です。
痛みやかゆみがほとんどないため、「そのうち治るだろう」と放置されてしまうことも少なくありません。しかし、時間の経過とともに周囲へ広がる可能性があるため、気になる皮膚の変化がある場合は早めの受診をおすすめします。
ー原因はー

基底細胞癌の発症には、長年にわたる紫外線(UV)の影響が大きく関係していると考えられています。特に、日光を浴びる機会が多い顔や首に発生しやすいことからも、紫外線による皮膚へのダメージが主な原因の一つとされています。
紫外線によって皮膚細胞のDNAに傷がつき、その修復がうまくいかない状態が長年積み重なることで、基底細胞癌が発生すると考えられています。
また、加齢による影響のほか、色白の方、屋外で過ごす時間が長い方などでは発症リスクが高くなるとされています。
基底細胞癌の主な原因
基底細胞癌の発症には、紫外線の影響が大きく関係しています。また、年齢や肌質、免疫状態、遺伝的な要因なども発症リスクに関係すると考えられています。
・紫外線
最も重要なリスク因子の一つです。長期間にわたる紫外線曝露に加え、強い日焼けを繰り返すことなども発症リスクに関係します。そのため、顔や頭部など日光を浴びやすい部位に多く発生します。
・加齢
高齢になるほど発症しやすくなります。長年にわたる紫外線の影響の蓄積などが関係すると考えられています。
・色白の肌質
メラニン色素が少ない肌では紫外線によるダメージを受けやすく、基底細胞癌の発症リスクが高くなります。
・免疫機能の低下
臓器移植後などで免疫抑制剤を使用している方などでは、皮膚がんの発症リスクが高くなります。
・遺伝的な要因
まれですが、基底細胞母斑症候群(Gorlin症候群)などの遺伝性疾患では、若い年齢から基底細胞癌を繰り返し発症することがあります。
ー主な症状ー
特徴
基底細胞癌は、小さな黒色や褐色、皮膚色のできものとして現れることが多く、ゆっくりと時間をかけて大きくなるのが特徴です。初期には数mm程度の小さなできものとしてみられ、表面に光沢があったり、細い血管が透けて見えたりすることがあります。進行すると中央がへこんだり、潰瘍やかさぶたを繰り返したりすることがあり、軽い刺激でも出血しやすくなる場合があります。
有棘細胞癌では、赤みを伴う盛り上がりや硬いしこりとして現れることが多く、表面がザラザラしたり、かさぶたを伴ったりすることがあります。進行すると潰瘍を形成し、治りにくい傷のように見えることもあります。
メラノーマ(悪性黒色腫)は、黒色や褐色のほくろのような病変として現れることが多く、左右非対称な形、色むら、不規則な境界などが特徴です。大きさや形、色が変化していくことも重要なサインです。ただし、色が薄いものや、一見すると典型的なほくろに見えないものもあります。
見た目だけでこれらの皮膚がんを正確に区別することは難しいため、気になるできものや、治りにくい傷、出血を繰り返す病変などがある場合は、皮膚科で診断を受けることが大切です。
できやすい部位
皮膚がんは全身のどこにでも発生する可能性がありますが、種類によってできやすい部位が異なります。
基底細胞癌や有棘細胞癌は、紫外線の影響を受けやすい顔や首、耳、手の甲などに多くみられます。特に基底細胞癌は顔面に発生することが多く、鼻やまぶた、その周囲などにもよくみられます。
一方、メラノーマ(悪性黒色腫)はさまざまな部位に発生します。日本人では、足の裏や手のひら、手足の爪などに生じるタイプが欧米人と比較して多いことが知られています。
また、有棘細胞癌は、やけどのあとや長期間治らない傷、慢性的な炎症が続いている部位などから発生することもあります。
以前からあるほくろや色素斑の大きさ・形・色が変化してきた場合だけでなく、新しく現れた色素斑やできものが徐々に大きくなっている場合にも注意が必要です。気になる変化がある場合は、皮膚科を受診しましょう。
主にみられる部位
✓顔(鼻・頬・額・まぶた)
✓耳・首
✓頭部
✓手の甲・腕
✓足の裏・手のひら
✓爪の下
✓慢性的な傷あとややけどの跡
症状
初期には「小さなできもの」「ほくろ」「治りにくい傷」のように見えることが多く、痛みやかゆみなどの自覚症状がない場合も少なくありません。しかし、時間の経過とともに病変が少しずつ大きくなったり、色や形が変化したり、かさぶたや出血を繰り返したりすることがあります。
特に、長期間治らない皮膚の異常や、以前からあったほくろの大きさ・色・形に変化がみられる場合は注意が必要です。皮膚がんは種類によって進行の速さや悪性度が異なりますが、いずれも早期発見・早期治療が重要です。
ー基底細胞癌の検査・診断ー
基底細胞癌の診断は、主に視診とダーモスコピー検査によって行います。色・形・表面の血管模様・潰瘍化の有無などを詳しく観察します。
診断を確定するためには、皮膚生検(病理検査)が必要です。病変の一部、または全体を採取し、顕微鏡で組織を確認することで、確定診断を行います。
見た目が似ている疾患として、
・脂漏性角化症(老人性イボ)
・ほくろ(色素性母斑)
・メラノーマ(悪性黒色腫)
・ボーエン病(表皮内がん)
などがあります。自己判断は危険なため、気になるできものがある場合は必ず皮膚科を受診してください。
ー治療についてー

基底細胞癌の根本的な治療は、手術による完全切除です。早期に発見・治療すれば、根治が期待できる病気です。
手術(外科的切除)
基底細胞癌の治療では、病変を周囲の正常な皮膚を含めて切除する手術が基本となります。完全に切除できれば再発する可能性は低く、多くの方で良好な治療成績が期待できます。病変の大きさや部位に応じて切除範囲を決定し、必要に応じて形成外科的な縫合や皮膚移植を行うこともあります。
病理検査
切除した組織は病理検査を行い、基底細胞癌であることや切除が十分に行われているかを確認します。病理検査の結果によっては、追加治療が必要になることもあります。
放射線治療
高齢の方や全身状態などの理由で手術が難しい場合には、放射線治療が選択されることがあります。病変の状態や患者さまの状況に応じて適応を判断します。
経過観察
治療後も定期的な診察を受け、再発や新たな皮膚がんが発生していないか確認することが大切です。また、今後の予防のためにも、日頃から紫外線対策を心がけましょう。
ー基底細胞癌の症例ー



ー受診の目安ー
以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに皮膚科を受診しましょう。
✓数か月以上治らないできものがある
✓ほくろのようなものが大きくなっている
✓繰り返し出血する
✓かさぶたが何度もできる
✓中央がへこんだできものがある
✓顔や首に気になるしこりがある
基底細胞癌は進行が比較的ゆっくりな皮膚がんですが、自然に治ることはありません。放置すると周囲の組織へ広がり、治療が大がかりになる可能性があります。
「ほくろだと思っていた」「年齢によるできものだと思っていた」というケースも少なくありません。早期に発見し治療を行えば、良好な経過が期待できるため、少しでも気になる皮膚の変化がある場合は、お早めにご相談ください。
